法律用語の「被相続人(ひそうぞくにん)」に使われている「被」という漢字には、「〜される」「(行為を)受ける」という意味があります。
相続の手続きにおいて、なぜこの言葉が使われるのか、わかりやすく整理してみましょう。
1. 「被」=「受ける側」という意味
「被」という字は、身に受ける、こうむるという意味を持つ接頭語です。 身近な言葉で例えると、「被害者(ひがいしゃ)」がわかりやすいでしょう。「害」を「被(こうむ)った」人のことを指しますよね。
これと同じように、法律の世界では「ある行為の対象になる人」の名前に「被」をつけます。
- 被相続人: 「相続」という行為を「受ける(される)」側、つまり「亡くなって財産を残したご本人」のことです。
- 相続人: 相続を「する」側、つまり「財産を受け継ぐ家族など」のことです。
2. なぜ「亡くなった人」と言わないの?
日常会話では「故人」や「亡くなった方」と言いますが、法律や税金の書類では、誰が「渡す側」で誰が「受け取る側」かを厳密に区別する必要があります。
例えば、お父様が亡くなって、あなたが財産を引き継ぐ場合、書類上の関係は以下のようになります。
- お父様 = 被相続人(相続される人)
- あなた = 相続人(相続する人)
お手紙や手続きの書類では、「亡くなったお父様」という表現の代わりに「被相続人 〇〇(お名前)」と書かれるのが一般的です。少し堅苦しい言葉ですが、「バトンを渡される側(相続人)と、渡す側(被相続人)」という関係性で覚えると整理しやすいです。
3. 他の「被」がつく言葉
相続以外でも、よく目にする言葉に「被」が使われています。
- 被保険者(ひほけんしゃ): 保険をかけられていて、万が一の時に保険金の支払い対象になる人。
- 被扶養者(ひふようしゃ): 家族に養われる人(扶養を受ける人)
- 被後見人(ひこうけんにん): 判断能力などの面から、後見人にサポート(世話)をされる人。
「被」がついている方は、「その行為の主役(対象)となっている人」と覚えると、専門書や役所の書類がぐっと読みやすくなります。